セルフビルド

oo 0421

 生駒市、無農薬野菜のO農園。

 築80年の農小屋を再生し、その横に別棟を増築。

 セルフビルド方式の試み。


富雄川の上流、奈良県生駒市と京都府京田辺市にまたがる一帯で、約一丁の農地をきりもりする専業農家のOさん。

無農薬野菜を手塩にかけて育て、京都、奈良近辺の高級レストランを中心に宅配されています。

今回、今まで作業場として使用されていた築80年ほどの農小屋を改築し、その横に別棟を増築しようという計画の相談を受けました。

o3o1o

目前180度に広がる田園風景と、おじいさんの代から延々と農作業の舞台になってきた、風格漂う建物です。

Oさんの構想は、ここで住みながら、都会の子供達に農業体験をさせてやりたい。

しかもできることなら農作業のみならず、農家の生活、---今となっては、昔の生活---を経験させたい。

そしてその中で、産地直売の農産物に目を向けてもらおう、というものでした。

着工までの相談は、一年以上かかりました。

お子さんの健康を考えて、使用する建材はほとんどが自然素材で、できれば再使用の可能なものを使いたい。

また、奥様の弟さんが家具作家でもあり、できるだけ自分達で作りたい、ということでした。

瓦は、おそらく50年以上は経っているでしょう。

それでも多くは、、並べ替えによってまだまだ耐えられそうでした。

一部の垂木を入れ替え、傷んだ瓦を葺き替え、棟瓦は、荷重が重すぎるとの判断から、枚数を減らすことにしました。

o2

左の写真は、天井部分、野地の裏側です。

このような竹の野地は、昔よくあったそうです。

ここには断熱材を入れ、杉板で閉める計画です。

土台の腐っているところは、ジャッキで持ち上げて入れ替え、柱の足元の腐った部分は、根接ぎします。

外部で土が崩れかかっているところは、焼き杉を貼るか、又は、劣化して剥がれそうなところは剥がし、再度土を塗りなおす。

床は、床暖房を仕込み、仕上げは杉板を貼る。

壁は、漆喰を塗るか、土のままか、又は杉板貼り。ロフトも杉で作る。

そのほか、薪ストーブをつくる。おくどさんを作る。ごえもん風呂を作る。パン焼き窯を作る。

雑排水は2槽式の池をつくり、鯉やフナなどの身近な生物での浄化を目指す。

やがては、風力発電も利用したい、など様々な計画が持ち上がりました。

o027

これは、芋を貯蔵するための床下の収納庫です。 

W=2000、D=1000、H=1000の寸法。

秋に収穫した芋を、冬の間ここで貯蔵します。


021025

写真は、地松のごろんぼ(梁)を巾3.5寸(105mm)に製材し直し、ロフトの補強に使用したところです。




左の写真は、梁として使うつもりが、製材してみると節もなく、あまりに綺麗な木目が出てきたので、土間へおりる框として使ったところです。

地松のむくった木肌をそのまま見せ、「とめ」で鍵形に継ぎながらおさめていく仕事は、大工さんの腕の見せ所です。

床は、針葉樹合板の下貼りですが、この上に床暖房パネル、さらに仕上げは杉の無垢材18mmを貼る予定です。

p1010009

左の写真は、竹の野地板のままだった天井に断熱材を仕込んだところです。

使用している断熱材は、ペットボトルを再利用した製品で、何度でも再利用ができます。

コストは、ロックウールよりやや高めですが、健康への配慮と再利用可能ということで、最終判断しました。

o022


右は、ロフトを真下から見上げたところです。

ロフトの仕上げに貼った杉板が、そのまま天井として見えます。

杉の香りや温かみ、適度なやわらかさを気に入られたOさんは、

仕上げには、ほとんどこのような杉を使う予定です。

036

さて、増築の農作業小屋ですが、基礎工事・躯体工事・屋根工事は、オークスで施工し、内外装や、建具などは、Oさん一家が、じっくりと作っていくということで、スタートしました。

Oさんの構想を基に設計した小屋は、間口2間、奥行2間半ですが、階高を4105と高くとり、お米用の乾燥機や冷蔵庫をいれて、その上にロフトがとれるように考えられています。

035

そして何より、この風格ある母屋に似合うもので、周辺の風景やOさんの生活スタイルにあったものにする必要があります。

ここでもできるだけ古材を利用し、外部は焼き杉を貼ることとしました。

左の写真は、古材を並べて、製材し、墨を打ち、刻んでいるところです。

何をどこに使うか、材のむくりをどのように利用するかなど、まさに昔ながらの大工さんの知恵と経験が生きてきます。


043

雨の中、無事上棟を終え、
焚き火を囲んで乾杯をするOさん家族と、オークスの職人達の面々。

横の畑で取れた豆を塩茹でし、お酒をやかんに直接入れ、温めながら廻し注ぎしていく。


頭に思い描いてきたものを図面にし、目の前で大きな材木が一本一本組まれていく。

o046o047



形になったものを見上げながら飲む酒。

焚き火を囲み、今日までの苦労話を肴にしばしくつろぐ。

さあ、明日からもはりきろう。

ookadanouenP101001711


o1010016

外部に焼き杉を貼り、入り口の建具は杉板で作ったものに柿渋を塗ってあります。

これらの仕事は、ほとんどがOさんの義弟の家具作家Sさんがされたもの。

もう用を為すには十分に仕上がっていますが、細部は、今後何年もかけてじっくりと工夫していこうという考えです。

ookada 0011


母屋。

一階床はすべて、杉板を貼ります。

厚み1.8cmで、その下に床暖房が設置してあります。

ookada0021

屋根下地に断熱材を入れ、

杉板で閉めたところです。

ookada0071



従来の柱をそのまま化粧で残し、全て杉板貼りにした室内。

正面に見えるのは、土間です。

土間左手は、おくどさんで、その煙突が左上に伸びています。

ookada0031


かつて和室だったところを、柱や鴨居などをそのまま残し、

天井は撤去して、屋根下までの空間を見せました。

ookada0041



ookada0061

左の写真は、トイレの入り口。

従来の梁や鴨居が邪魔して高さがとれませんが、くぐりながら入るのもまた、風情がある。

右の写真は、トイレの扉を開けたところ。

腰の高さまで杉板を貼りました。

ookada0081


居室の天井部分。

杉板を貼り、その上は、ロフトとなっています。